「『おかああああさん』だったら、叫んでるみたいですよね」
と寝る前、汐音は求とスマホで話していた。
「そんな感じに登録されてたら、100%気がつくだろうし。
なんかホラーっぽくて、絶対かけたくないな……」
と求は言ったあとで、
「お前と長く付き合えている繁さんは偉いな」
と言ってくる。
「でも……」
でも? と汐音は続きを待ったが、続きはなかった。
求は、
『でも、俺も、これからずっと。
繁さんに負けないくらい、長くお前と付き合っていきたい』
と言いたくて、言えなかったのだが、汐音はそのことを知らなかった。



