狙われてますっ!

「取りに戻ろうか?」
と訊いたが、

「いや、大丈夫。
 ちょっと電話しとくから」
と言って、汐音はスマホを取り出し、スマホのAIアシスタントに頼みはじめる。

「実家に電話をかけて」
「佐々木さんの実家にかけます」

 何故、人んちの実家にかける、AI……。

 汐音は、
「両親にかけて」
と言いかえてみていた。

「漁師さんは登録されておりません」

「利子さんに電話をかけて」
「利子さんは登録されておりません」

「おかあさんに電話をかけてっ」
「おかあさんは登録されておりません」

「そんな莫迦なっ」
と叫んだ汐音は、

「諦めないで、考えてみてっ!」
とAIに言っている。

 いや、どんな高性能なAIをスマホに求めてるんだ、お前は……。