狙われてますっ!

 ……汐音。
 身内だから可愛いと思うが、恋人とか妻にするのには難ありな気がすると、ずっと思っていたのに。

 加倉井求にも、いや、お前、ほんとうに汐音で大丈夫なのか? と思っていたのにっ。

 この俺が、加倉井が汐音を好きになる遥か昔から汐音が好きだったとはっ。

「おにいちゃん、手が止まってるよ」
と汐音が言う。

 やかましい、黙れ、と渡真利が発動して言いそうになる。

 だが、利子たちが居るので(こら)えた。

 駄目だ。
 渡真利が発動すると、容赦無(ようしゃな)く汐音を叱りたくなるし。

 それに……。

 どうしたんだろう、と自分を見上げる汐音の愛らしい目を見ながら、渡真利と繁は思っていた。

 ……抱きしめたくなるかもしれん、と。