汐音をこの仕事のチームに入れたのは失敗だった。
そう渡真利は思っていた。
同じ警察に入っても、汐音とは仕事内容が違うので、今まで接点はなかった。
汐音に接するのは、『繁』ばかりで、『渡真利』が――
いや、渡真利という名とは限らないのだが、
ともかく、仕事中の人格が汐音と共に過ごすことはまず、なかった。
それなのに……。
いかんな。
身内としてではなく、他人として接触したら、汐音はずいぶん女性として魅力的なようだ、と輝美たちが聞いていたら、
「いやいや。
そう思う時点で、すでにかなり目が曇ってますから」
と言ってきそうなことを渡真利は思っていた。



