その頃、渡真利はなにか事件が起こらないだろうか。 急展開しないだろうかと願っていた。 汐音を今、呼び出したいっ。 連絡したいっ。 かと言って、用もないのに電話をするとか、無粋な真似はしたくないっ。 そうだ。 犯人の決定的な証拠を見つけるんだ、今っ! と渡真利はかつてないほど、集中して資料を読み込んでいた。 ただ汐音と求の邪魔をする理由を作るために――。