狙われてますっ!

 無表情に並ぶ兵馬俑(へいばよう) 渡真利の後ろ。

 彼らに守られていた棺から、繁がゆっくりと起き上がってくる。

 王の復活だ。

 しかも、この王様、幼いときから汐音を知っていて。

 汐音となんでも阿吽(あうん)の呼吸で通じ合う。

 兵馬俑の後ろに君臨する繁に向かい、求は言った。

「……貴様が真の敵だったのか」

 汐音は求がそんな阿呆な妄想をしていることにも気づかず、林の向こうに見える花火を見ながらご機嫌だ。

「綺麗ですね~。
 此処抜けたら、きっと大きく見えるんでしょうね。

 わくわくしますねっ」
と言って、ニコニコ笑っている。

 ……汐音にこの事実、気づかれないようにしよう。

 どうも渡真利さんというか、繁さん自体、自分の想いに無自覚なようだから、と思いながら、求も木々の向こうの花火をチラと見た。