危ないところだった。
さらに汐音を好きになるところだった、と思いながら、求は次の日、職場に来ていた。
昨日の話を武志にする。
「上手く行ったんならよかったじゃないか」
と言われたが、求は眉をひそめる。
「でも思うんだ。
ナゾの七味和えという謎が増えて、汐音を好きになったら。
それは汐音を好きなんじゃなくて、七味和えが好きということにならないだろうか」
そう真剣に語ったが、武志は笑って言ってきた。
「そうじゃなくて、そこでナゾの七味和えなら頼んでみようと思う汐音さんが好きなんだろ」
「……そうか。
うん、そうだな。
すっきりした。
ありがとう、武志」
と肩を叩くと、
「で、二人で出かける話はまとまったの?」
と訊かれる。
そういえば、ナゾの七味和えのインパクトに押されて忘れていた……。



