狙われてますっ!

「他には他にはっ?
 好みのタイプとか言ってたっ?」
と身を乗り出してくる真琴に押され、汐音は仕方なく、

「あ~、えーと……
 年上のお姉様タイプがお好きみたいですよ」
と言ってしまう。

 こらっ、なに言ってんだっ、と頬を引っ張ってくる渡真利の幻影が見えた。

「そうなのっ?」

「真琴さんはお姉様タイプなので、バッチリじゃないですかね?」
と言うと、一瞬、喜んだ真琴だったが、目を皿のように細くして汐音を睨み、

「……でも、私、渡真利さんより年上じゃないわよ、たぶん。
 そこのところはお間違えなく」
と念押ししてきた。

 ……わ、わかっております、はい、と言いながら、汐音は後ずさり、給湯室から逃げ出した。