慌てて窓を開けた私に
「やっと気づいたか」
隣の家のベランダに頬杖をつきながら、むち君は呆れ声を吐き出している。
「望愛、朝になったらシャトル拾っとけよ」
「えっ?」
「下」
むち君の指が示す先。
私とむち君の家の間に、バドミントンのシャトルが4個落ちている。
低い塀があるから、我が家の敷地にだけど。
懐かしい。
むち君は小学生までバドミントンを習っていた。
よくお兄ちゃんと雨ちゃんも交えて、4人でバドミントンのラリーをしたっけ。
『へたくそ!』
『どこに打ってんだ!』
『シャトルから目を離すな!』
むち君はあの頃から鬼コーチだったな。



