「大地くん、送ってくれてありがとう」
「ラビー王子の良さをわかってくれる子がいるなんて奇跡!って思ったら、話し止まんなくなっちゃって。俺、ウザくなかった?」
「すっごく楽しかったよ」
「あのさ……」
笑顔マックスのハイテンションだった大地君が、急にモジモジを始めたから
「どうかしたの?」って、首をかしげてみたけれど。
大地君の顔は、赤みを増すばかり。
恥ずかしそうに私から顔を背けている。
桜を躍らせる優しい春の風が、大地くんのキャラメル色の髪をフワらせる。
薄紅色の花びらが一枚、大地君の髪に舞い降りた。
花びらを取ってあげなきゃ。
大地くんに近づき、彼の前髪に手を伸ばす。
それなのに
私の手は大地くんの頭まで届かない。
しなやかな指が、私の手首をギュッと掴んできたから。



