「望愛ちゃん、行くよ」と腕を引っ張られ、残念がる先生を残し昇降口へ向かう私たち。
いつの間にか私の腕を解放してくれていた大地君の瞳が、悲しく揺れているような気がしてしょうがない。
「大地くんって、中学の時は野球部だったんだね」
「幼稚園の頃からやってた」
「本当に野球部に入らないの?」
顧問の先生だって、大地君にすごく期待しているみたいだし。
「俺小学校の時に、野球をやめるつもりだったんだよ。ある人と約束しちゃったから、続けてただけ」
『どんな約束?』
その質問は、私の喉から先には漏れ出さなかった。
だって……
ニコニコがトレードマークみたいな大地くんが、苦しそうに瞳を揺らしながら、唇を噛みしめているんだもん。



