花びらが春を喜ぶように踊りまう、おだやかな朝。 「キレイ~」 満開の桜に見とれる私の目の前には 「桜より望愛(のあ)に見とれちゃうけどな」 ミルクティー色の波うつ髪を優雅にかきわけて 「僕の望愛は、桜に舞い降りた天使なの?」 キャンディみたいな甘い笑顔をこぼす、エプロン姿の王子様と。 「望愛! 桜なんて見てるヒマはないだろーが!」 黒い宝石がはめ込まれたような、ワイルドな目を吊り上げ 「ボケっと突っ立ってるな! さっさと走りに行くぞ!」 ジャージ姿で腕を組む悪魔王子様。