「ララ…ランニング初日で、つつっ、疲れただけだよ」
「あれ、ムッチーは?」
むち君の話題、今は出さないで。
「先に帰ったんだ、うん、そうそう」
「望愛を置き去りにして?」
「むち君、髪のセットに時間かかるから」
「こだわりが強いんだよね。髪のはね一本すら許せないみたいだし。オスの色気を放ちまくるワイルド王子のムッチーなんだから、寝癖があるほうがギャップ萌えで可愛いと思うけどな」
「そう思わない?」と、雨ちゃんに問われ
「うんうん。そうだねそうだね」と、誤魔化すように頷いちゃった。
「望愛、口開けて」
「いきなり何?」
「開けないなら、強行突破ね」
雨ちゃんのまぶたが、イジワルっぽくゆるむ。
きょとんと首をかしげる私。
甘い香りがふわっと鼻をかすめ、何かが私の口に押し込まれた。
ん?
これって……?



