エプロン王子は瞳を悲し気に揺らし、しゃがみ込んで地面を指ですりすりすり。
ふてくされた様な声でブツブツブツ。
「僕は望愛が生まれた時からずっと隣にいるんだよ。24時間可愛がりたくて、とことん甘やかしたくて……」
「おまえ、シスコン束縛魔決定だな」
むち君の呆れツッコミすら、雨ちゃんは無視。
「僕の手料理をたくさん食べさせて……」
「本人は痩せたいって言ってるだろ?」
「望愛を僕の愛でブクブク太らせて……」
「アメのことをパーフェクト王子って勝手に勘違いしてる学校の女子が見たら、ドン引きだな」
「フリフリラブリーなドレスを着せて、いただきま……」
「ちょっと待て、妄想の中とはいえ望愛を食べるな!」
むち君は雨ちゃんの頭をグーでポコん。
「譲に呪い殺されるぞ!」
呆れ声を吐き出した瞬間、私も雨ちゃんも直立不動の棒人間化。
これでもかってほど目を見開き
ピクリとも動かないくらい固まって
――数秒後
「あっ、悪い……」
悪魔むち君が後悔を口にしたせい。
3人を取り巻く空気が、余計に重苦しくなっちゃった。



