「なんで僕たちから逃げようとするかなぁ、望愛」
「俺とアメ、どっちの言うことを聞くつもりなわけ?」
だから二人とも……
芸能人並みの美顔を、私の顔に近づけすぎだから……
上目づかいで、雨ちゃんとむち君の両方を見比べて
キョロキョロ
キョロキョロ
見比べて見比べて……
「雨ちゃんごめん、むち君と走ってくる!」
私は雨ちゃんに勢いよく頭を下げた。
壁から手を離した雨ちゃん。
今がチャンスと、私は壁ドン状態から逃げ出す。
雨ちゃんは納得がいかないもよう。
透き通る白い頬を、片側だけプクっと膨らまし始めた。



