まだ、青く。

私は言いながら膝から崩れ落ちた。

ガラス達の声が溢れてくる。

ダムが決壊した時のように勢い良く私に迫ってくる。


「おい、君、大丈夫か?!」

「私は大丈夫です。それよりも早くガラスを救ってご自身が捕らわれている感情から解き放って下さい。お願いします」

「わ、わわ、分かった。じゃあ、どうすればいいんだい?」

「私がガラスの言葉を代弁します。虹森さんはただ思いを込めてその棒から命を吹き込んであげて下さい。そうしたらきっと、ガラスも喜びます」


私は虹森さんの2メートル背後に立った。

そして、その背中に言葉をかけた。


「この子は黄色が良いそうです。口は星形のような独特な形です」

「おう」


何度も釜に入れては戻し、熱いうちに変形させ、徐々に形を整えていく。

途中で色を乗せ、息を吹き込んで命を生む。

命を吹き込まれ、ただのガラスからグラスへと生まれ変わる。

その一連の流れを見守りながら、私は慎重に言葉を選び、虹森さんに伝えた。

冷やされている時のグラスの楽しげな会話も聞かせてあげた。

涼しいところは極楽だって皆口々に言っていた。

その言葉に虹森さんは心からの笑みを浮かべていた。

涼しいところが良い。

きっと、それは人間も同じで...。