まだ、青く。

「......さん。...目さん、聞こえる?」


どうやら意識を失っていたみたい。

こんなこと、小さい頃はしょっちゅうあった。

踏まれた雑草を見つめていたらいつの間にか気を失って倒れていたり、

迷子の犬を助けたら突然犬の声が聞こえなくなって迷子になって、パニックになって過呼吸になったり。

その度に母が私を見つけてくれて家のふかふかのベッドに寝かせてくれた。

でも、今は母はいない。

なら、誰が...


「夏目さん?」

「あっ。す、すみません...」

「良かった。気づいたんだな」


声で分かった。

この声は...


「志島くんですね。あの、私...」

「ちょっと待ってて。今部長呼んでくる」

「あ、あの!」


私は咄嗟に手を伸ばし、シャツの裾を掴んだ。


「あ......す、すみません。私、何を...」


慌てて離したものの、志島くんは足を動かさなかった。

くるりとこちらに向き直り、隣に腰かけた。


「苦しそうにしてたから外に連れてきた。代わりばんこで様子見てて俺が最後。あれからもう3時間経ってる」

「じゃあ、取材は...」


私の言葉に志島くんは顔を歪めた。


まさか、私のせいで......


視界がみるみる歪んでいく。

風が痛い。

木の葉同士がこすれる音さえも怖い。

聞こえてくる。

自然の声が。

不快になることなんて言っていないのに

それでも、苦しい。

どうしよう...

どうしよう...

私......

どうすれば...

どうすれば...

いい?