まだ、青く。

駅から歩いて15分ほどのところにその工房はひっそりと息を潜めていた。


――チリンチリン...。


ドアを開けた瞬間にベルが鳴り、奥から女性がやって来た。


「お待ちしておりました。ワタシは虹森純太郎の妻の彩子です。出海高校報道部の皆さんですよね?」

「はい。私(わたくし)、部長の御手洗千と申します。こちらから副部長の杉浦くん、部員の志島くん、富水くん、雨宮さん、夏目さんです。今日はどうぞよろしくお願い致します」

「こちらこそよろしくお願いします」


見渡す限り360度がガラスの世界。

鮮やかな色に染まったガラス達が人間と同じように世界に1つだけの存在として呼吸をしている。

赤は燃えるような熱を感じ、

オレンジは茜空のようにほの温かく、

黄色は向日葵のように日の光を一心に受けた鮮やかな色で、

緑は新緑の季節を思い浮かべられる瑞々しくも穏やかで、

青は空と海が水平線で混じり合った時のようで、

藍はラピスラズリのような重厚感のある色味で、

紫はアメジストのように高貴かつ美しい色。

いくつもの色が存在する混沌とした世界だけれど、そのどれもが自己主張をしつつも調和していて不協和音は聞こえない。

色んなものに囲まれているのに、こんなに落ち着く場所は初めて。

きっと作り手の精神状態が良好だからだろう。

モノは作り手の心を鏡のように映し出すから。

それが良くも悪くもあるのは言わずもがなで、芸術家が苦しむ姿も私は知っている。

幼い頃通っていた絵画教室の先生がそうだったから。

私が見える言葉を言ってしまったがために、さらに追い詰められ、先生は結局絵画教室をやめてしまった。

私の言葉も、

私のこの能力も、

芸術も、

才能も、

諸刃の剣、なんだ。