まだ、青く。

「さてと、目的地に到着するまでちょっと込み入った話しよっか」

「込み入った話とは...」


言葉を上手く咀嚼出来ずにいると、千先輩が歩幅を緩めた。

私も千先輩に合わせて足を動かす。


「凪くんの心、読めない?」

「それが...無理、なんです。志島くんだけはどうしても」

「もう試したってこと?」

「はい。志島くんの気持ちを知りたいという手紙をもらったことがあって、その時に名前を書いて触れてみたんです。でも何も見えなくて...」

「そう、なんだ...」


私はこくこくと頷いた。

知りたいという人がいるのに願いを叶えてあげることも出来ない上に、そもそも表情が読みづらいし、オーラも微妙にモザイクがかかっているというか...。

一言で言ってしまえば...


「本当の志島くんじゃない気がします」

「と、突然どうした?」


6月の少し湿っぽい風が肌を撫でる。

このじめじめとした感じが志島くんの回りにもまとわりついている気がするんだ。

薄いベールの上にいくつもの複雑な感情で色づいたベールをさらに重ねて鉄壁を作り上げている。

そういう感じなのだ。