まだ、青く。

十字路で潤ちゃんと分かれ、私は左に曲がった。

その50メートル先に家がある。

玄関で靴を脱いで決められた場所に置いてキッチンにいるであろう母に向かって叫んだ。


「ただいま~」

「鈴おかえり。今日はなんか気分が良さそうね。なんか良いことあった?」


母がエプロンの紐を結び直しながら洗面所までやって来た。


「気分が良いのかどうか良く分からないんだけど、でもたぶんそうなんだと思う。あのね、実は...」


――ガチャ。


「ただいま~」


私が話を始めようとしたところで、丁度2人目の家族が帰ってきた。

いつにもまして泥だらけ。

今日も芝生のないあの固いグラウンドを駆け回ってたんだろうな、と容易に想像がつく。

私は専用の洗濯かごを持って母と玄関に向かった。


「おかえり渉(しょう)。今日もひどいわね」

「まぁな。おれはエースナンバーをいずれ背負う男だから、これくらい練習しないと」

「それはいいけど、お母さんに感謝しなよ。毎日洗ってくれてるんだから」

「鈴は相変わらずお小言かよ。もっと言うことないのか?たまには弟への労いの言葉の1つや2つ、かけてみてよ。どうせ鈴はまた趣味の悪い占い師ごっこしてただけなんだろ?」

「渉、そんなこと言わないの。ほら、早くバッグから出して」

「へいへい」