まだ、青く。

「えっ...」


私は顔を上げ、雨宮さんを見つめた。

雨宮さんは私に微笑みかけながらも、

窓の向こうの凪の海を見つめていた。

その瞬間、風船がパンッと割れるように、

胸の中に溜まった透明な大きな雫が弾けとんだ。


「その肝心の凪は今いないんだけどな」


あははは...と何事もなかったかのように笑い飛ばす杉浦くん。

胸の奥で波が激しく音を立てる。

寄せては返す、波...。

私を突き動かすこの波は...

私が知らない

感じたことのない


"感情"


なの?


「とーにーかーく、この疑り深い部活の人間が見てシロって判断したんだから、鈴ちゃんは嘘を付いてない。鈴ちゃんは周囲に敏感で自分に鈍感な、ちょっと不思議だけどそれが魅力の可愛いJKだよ!」

「か、可愛いって...」


どんどん顔が熱くなる。

このままだと茹でダコみたいになってしまう。

その前に冷水を浴びなくては...。