まだ、青く。

千先輩がすやすやと寝息を立てる中、隣の席に座っていた潤ちゃんが話しかけてきた。


「今回の帰省、確か凪くんには知らせてないんですよね?」

「あっ、はい。そうなんです。サプライズ...みたいにしようかと思って...」

「遠距離って大変じゃないですか?わたしは自分の気持ちを保っていられる自信がなくて...。だから、渉くんに遠距離でも構わないので付き合って下さいってお願いされたんですけど、断ったんです」


そう言えば、そんなこともあった。

確か、あれは卒業式の日。

家に戻ったら卒業して地元を離れることになる姉よりもわんわん泣いている弟がいたのだ。

渉はずっと潤ちゃんに片思いをしていて、ようやく気持ちを伝えたのだけれど、潤ちゃんには抱えきれない荷物だったよう。

それが...遠距離恋愛、だったんだ。


「天ちゃんは不安になったりしませんか?」


潤ちゃんのド直球に、私のグローブは大きな衝撃を受けた。

少し歪んで、

心もぐらっと揺れて、

それはきっとバスのせいじゃない。

だけど、受け止め切れた。

投げられたボールを落としたくなかったから、必死に掴んだ。