まだ、青く。

私は志島くんに話したことと全く同じことを話した。


「動物の心が読める人ってマジでいたんだ...」


口をあんぐりと開けて茫然としてしまったのは、報道部期待の新人で1年の富水(とみず)涼介くん。

そして、その隣で話を聞いていた杉浦くんも目をかっと見開き、こちらを凝視してきた。


「すっげえな、君...」

「そ、そんなことないです。現に自分のことはさっぱりですし...」

「いや、そうは言ってもねー、やっぱ他人の心を読めるとか動植物の話を聴けるのは羨ましいよ」


御手洗先輩も尊敬の眼差しを私に向けてしまっている。


そんなすごいことじゃないのに...。

って、それよりも...

それよりも、だよ。


「私の話、信じて頂けるんですか?」


全員の視線が私の顔に一気に注がれる。

こんなにも視線が集まるなんて1年に1回、自己紹介の時だけだと思っていたのに...。

私は恥ずかしくなって咄嗟に俯いた。

すると、そんな私の肩に優しい温もりが下りた。


「皆、夏目さんのこと信じてますよ。嘘を言っていないというのは瞳を見れば分かります」


雨宮さんがにこっと微笑む。


「そうそう」


そして、雨宮さんの言葉に同調してくれた御手洗先輩は私の頭を優しくぽんぽんした。


「それに...1番人に対する警戒心が強い凪くんが信じているのなら尚更信じるしかありません」