「会いたい」

「えっ...?あ、会いたい...。えっと、その...」

「"会いたい"、"今行く"。そう...送った」

「あ、そそ、そういう意味だったんですか?ご、ごめんなさい。全然察することが出来なくて...」


凪くんはふっと笑ってまた歩き出した。


「そういうとこ...天らしい」

「て、てて、天?い、今凪くん私の名前を...」


私は動揺しながら急ぎ足で着いていく。

潤ちゃんが言ってたけど、男の子に名前で呼ばれるのって恥ずかしい。

しかも...好きな人に呼ばれたらなおさらムズムズする。


「俺は天って名前の時に出逢ったからそう呼ぼうと思う。いい?」

「わ、悪いわけないです。私もその名前好きですから」

「そっか。なら、良かった」

「はい...」


家までの上り坂はいつだって急で

冬だって汗が滲んでくる。

今日はしかも5割増しで手に汗が吹き出てじっとりとする。

こんなことになるなら、ハンカチも持ってくれば良かったと思った。