まだ、青く。

「夏目っ!」


うっすらとした視界なのに

その声ははっきりと聞こえた。

鼓膜が震え、脳に伝達する。


いるよ、って。

ここにいるよ、って。

来てくれたんだよ、って。


私は悴む手を力の限り伸ばした。


「夏目っ...」


凪くんは私の手を強く握って、私の体を起こしてくれた。

そして、その勢いのまま私を包み込んだ。


「凪くん...」


私は凪くんの胸の中で泣いた。

凪くんの温もりが涙を誘った。

凪くんの優しさが私の心を揺さぶった。

大声を上げて泣いた。

泣いて泣いて泣いて、

それでも涙は枯れない。

胸に溜まっていた淡いピンク色の液体が詰まったガラス瓶がパリパリと音を立てる。

割れたところから少しずつ漏れて体を巡る。

そのうちに体温が戻ってきて、

激しかった心音がおとなしくなって、

手の感覚も

足の感覚も

戻ってきた。

私は埋もれていた顔を上げ、

その透き通った漆黒の瞳を覗いた。

まるで希望の星がたくさん詰まった宇宙のようだ。

その瞳の奥にはどんな世界が広がっているのだろう。

私はそれをただ知りたくて、

ここまで走ってきたんだ...。

だから、伝えなきゃ。

この気持ち、

今...

伝える。