まだ、青く。

そして、時は流れ、凪くんが7歳の時。

昊さんは私を見に伊豆に戻って来た時に凪くんに再会した。

凪くんの隣にはおじいさんらしき人がいたのだが、それが汀次さんだった。

その時すでに夕さんは亡くなっていて、凪くんは夕さんの実家に預けられていたのだ。

昊さんは後悔した。

自分が連絡を絶やしてしまったせいで夕さんの死に際に会えなかった、と。

夕さんは何度も自分を助けようとしてくれていたのに、自分は夕さんが苦しい時や辛い時に側にいられなかった、と。

昊さんはその事実を汀次さんから聞き、謝ったという。

でも、汀次さんは母を責めたりしなかった。

その代わりに、汀次さんは母に夕さんの学生時代の話をした。

汀次さんが嬉しそうに話す姿を見て母は救われた。

そして、思い出した。

高校の1年後輩に"海の声が聞こえる"という不思議な少女がいたことを。

その少女はいじめを受けて孤立し、海に最も近い白浪神社に行って海神様に毎日お願いをしていた。

母はその少女の後をつけて行き、彼女が願いを捧げるその隣で、少女と同じことを願った。

少女...夕さんは、母に夕日と混じり合ったオレンジ色の笑みを向けてくれた。


2人の願い事は、



"皆が心の底から幸せだと思える世界になりますように"



それは、

凪くんと同じ願いだった。