まだ、青く。

私は潤ちゃんの細い腕にくるまれた。

渉と涼介くんが慌てて離れていくのをスニーカーと地面がこすれる音で感じながらも、私は潤ちゃんの鼓動を心で感じていた。


「...後悔だけはしないでください」


潤ちゃんの透明感のある声が耳元で目映く鳴る。


「自分の誕生日くらい、自分の心のままに生きてください。鈴ちゃんは...鈴ちゃんはもっともっとワガママになっていいんです。

心の声に耳を澄まして、ワガママに勝手に奔放に飛び出して行ってください。きっともう誰も止めません。

もちろんわたしは鈴ちゃんの心を、鈴ちゃん自身を受け止めます」

「潤...ちゃん...」


潤ちゃんはきっと分かっている。

気付いている。

私のこのモヤモヤの正体を。

知ってる。

私の心を覆う、感情の答えを。

だって、私の...


「親友ですから」


...親友だから。


私は潤ちゃんの言葉を胸にしっかりと受け止め、夜空を見上げた。

満天の星空が私の心に光をもたらす。

月が私の行く先を照らし出す。

ひゅ~っと北風が頬を撫でる。

波の音と潮の香りが胸の奥底で忘れ去られていた淡いピンク色を思い出させる。


「潤ちゃん、ありがとうございます」

「今までのお礼です」


私は潤ちゃんの腕をほどき、潤ちゃんの瞳を真っ直ぐ見つめて言った。


「自分の心とちゃんと向き合って答えを出します。潤ちゃんは私のこと、信じて待っていて下さい」


潤ちゃんは大きく頷いてくれた。

私が出逢った天使は、私以上に私のことを思ってくれていた。

そして、その笑顔は聖なる夜に最も似つかわしい、儚げだが凛として純潔な宝石のようだった。