まだ、青く。

「こ、ここがと、とと、東京ですか?!」


驚きのあまり大声を出すと隣で信号待ちをしていたミニスカートのお姉さんにキリッと睨まれた。

バスの中で天気を確認した時、今日は8℃ってなってて東京も寒いんだなぁなんて思ってコートを着てきたのだけど、私がすごく厚着をしているように思える。

回りの皆さんは薄手のジャケットを羽織っているくらいなのに、私は......。

空色のコートを初めて恨めしく思い、唇を噛んだ、その時。


「夏目、行くよ」

「あっ...」


田舎から出てきたお上りさん感満載の私を凪くんは見離さないでくれた。

私の手はその大きな手のひらの中で少しずつ熱を帯びていく。


「これから電車に乗るから、また薬飲んだ方がいい」

「あっ、はい。分かりました」


交差点のど真ん中を猛スピードで歩きながら、凪くんは淡々と話す。

物怖じせず、常に冷静で周りを良く見ている凪くんに私は心底救われている。

酔い止めの薬のことなんて頭の中になかった私に、バス乗車前に見知らぬおばさんから薬を分けてもらって私に飲ませてくれた。

全部お膳立てしてもらっちゃってる...。

さすがに頼りにしすぎだろうか。