まだ、青く。

私は何事もなかったかのように家族と夕飯を囲んだ。

私にとって、自分の命と同じくらい大切なもの。

それが家族だと信じて疑わなかった。

昔から朝食と夕食は必ず4人で一緒に食べる。

これが"我が家"のルールで、

私が産まれた時からずっとそうなんだと

勝手に思い込んでいた。

でも、それは...

違ったのかもしれない。


「お父さん、お母さん、話があるの」


渉がお風呂に行ったのを確認してから、リビングでくつろぐ2人に声をかけた。


「どうした、鈴?進路の悩みか?確かにそろそろ鈴も将来のこと考えないとな...」

「違うの。私はまだ将来なんて考えられない。だって、今だって良く分からないんだから」


私はそう言うと、両親の前に空色の封筒を出した。

父はぽかんとしていたが、母は察しがついたようでうんうんと2度頷いた。


「ポスト、開けたのね?」

「うん」

「こっちのポストに興味を持つようになったってことは...うん......きっとそういうことよね」


母は手招きして、私を隣に座らせた。

母の香りが近づいて安心すると共にさざ波が立った。

懐かしいけど懐かしくない香り...。

きっとこの違和感は今の私だから感じられるんだ。

私は深呼吸をしてから母の瞳を見つめた。

母の瞳の奥には強い覚悟のようなものが炎のように燃え盛って見えた。


「あなた、あの人のこと話していい?」

「彼女のことも鈴のことも1番良く知っているのは汐莉だ。オレは汐莉に任せる」

「そう。...分かった」


母は私の手に自分の手のひらを重ね、ゆっくりと唇を動かした。


「昔々のお話を始めます」