まだ、青く。

私は千先輩のお言葉に甘えて1度抜け出し、凪くんと一緒に人気のない保健室前の水道までやって来た。


「腫れちゃったな...。すぐ駆け付けられなくてごめん」

「凪くんは全然悪くないです。ちゃんと断れなかった私が悪いんです」

「いや、夏目は何も悪くない。俺が悪かった」

「そんなことないです。私がこう...誠実にお断りすれば良かっただけのことなので」

「いや、でも...」


なんて言い合っているうちに手首の熱は冷めた。

その代わりに頬が火照ってきて、

なんだか胸の奥からじわじわと熱くなってきた。

徐々に体内温度計の目盛りが上へ上へと昇っていく。


「ふふ」

「何笑ってんの?」


気付いたときには、私はお腹を抱え、しゃがみこんで笑っていた。

いつまでも笑いが収まらない私の背中を凪くんは必死にさすってくれていた。

でもそんな凪くんもクスクスと不器用に笑っていて

私はそんな凪くんの側で笑えて

きっと......嬉しかった。

嬉しかったんだ。

意味もなく笑えるこの関係が

胸をくすぐって

でも、なんだかぽかぽかと温かい。

まるで我が家のような安心感と温もりに、いつしか頬も緩んでいた。

しばらく笑いほうけてしまい、部室に戻ったときには時計の針が4時を指していて、もう終わりまで残りわずかになっていた。

私は凪くんに湿布を貼ってもらったお陰でなんとか痛みを乗り越え、最後まで役目を全うすることができた。