まだ、青く。

「夏目」


瞼の裏が急に黒から白に変わって私は咄嗟に目を開いた。

すると、そこには...

凪くんがいた。


「邪魔しないでくれる?」


鑑先輩は私の手を離してから凪くんに向かって鋭い矢を放った。

私はじんじん痛む右手を押さえ、凪くんに視線を投げかけた。


「夏目、痛い?」

「痛いです...」


凪くんは鑑先輩を無視してテントの中に入ってきた。

そして、私の真横に腰を下ろすとすかさず私の手のひらを優しく握ってくれた。

その優しさとは裏腹に、鑑先輩に対しては鋭い眼光で睨み付けたまま、矢継ぎ早に言葉を放つ。


「すみませんが、もうタイムリミットです。お引き取り下さい。先輩の後にもまだこんなに並んで下さっている方がいるのに、占い師が怪我していると商売にならないので」

「君、後輩のくせに生意気だね。こっちはお客様なんだから少しくらいの延長認めてもらわないと困るよ」

「客だからって店長に怪我を負わせるんですか?そんな客なら、こっちから願い下げです」

「お前っ...!生意気なことばっか言いやがって!」


......あっ!


「凪くん!」


私はお腹の底から叫んだ。

人生の中で1番大きな声が出た。

咄嗟に目を瞑り、願った。


どうか、凪くんを...

凪くんを、

傷付けないで。