「嬉しかったです!楽しかったです!今日は本当に...本当に初めてのことばかりで、なんだかこう...胸がいっぱいいっぱいで上手く言葉に出来ないんですけど、でもきっとこれが嬉しいと楽しいなんだと思います」


私の意味不明な言葉に志島くんはただ黙って頷いてくれた。

それだけでもう十分だった。

やっと話せて

受け止めてもらえて

それだけで十分だったのに、

満足していたのに、

志島くんはそれ以上のものを私にくれた。


「俺も...楽しかった」


そう言って志島くんは口角を上げた。

ぎこちなくて不器用な笑顔だと思った。

でも、どこか自分に似ていて懐かしささえ感じる笑みだった。

私も思わず頬を緩めた。

月よりも星よりも眩しい笑顔が

この夜に溶け込んで

私の胸の深くに沈み、

淡い色を呈して溜まった。