2学期の始業式を終え、あっという間に午後の部活の時間になった。

私と潤ちゃんが部室に行くと、もう1組コンビは来ていた。


「よっ!雨ちゃんと鈴のすけ!」


兆くんは一番偉い議長席に座って足を組みながら声を張り上げた。


「あの、雨ちゃんって言うの止めてくれませんか?恥ずかしいです」


潤ちゃんが兆くんをキリッと睨み付けた。


「じゃあなんて呼べばいいんだよ。雨宮ちゃんも潤ちゃんもダメ。たしか、雨っちも宮っちも拒否したよな?」

「...あめんぼ」


潤ちゃんがぼそっと呟いた。


「あめんぼ?」


兆くんの問いにこくこくと潤ちゃんは頷いた。


「あめんぼ、可愛いですね」

「でも、鈴ちゃんにはこれからも潤ちゃんと呼んでもらいたいです。ただ、男子に名前で呼ばれるのはちょっと...なので、あめんぼでお願いします」

「おー、そうかそうか。りょーかい」


と言いながら兆くんは白米を口一杯に駆け込む。

一方凪くんは茫然とこちらを見つめていた。


「凪くん、どうかしました?」

「あ、いや、その...髪、切ったんだなと思って」

「はい。気分転換に」


潤ちゃんがそう言うと、凪くんはぺこりと頭を下げた。


「俺のせいだよな。ごめん。でも、似合ってる」

「ありがとうございます」


やはり、潤ちゃんと凪くんの間に流れる空気はさらに柔らかく穏やかになった。

気持ちを言葉にしたことでギクシャクするかと危惧したけど、この2人は逆にお互いの心に近づけたみたいで本当に良かった。

でも、兆くんは......