まだ、青く。

腕時計を見ると、午後8時20分。

家では父が帰宅して夕飯を食べている頃。

渉、ちゃんとお母さんのお手伝いしたかな?

なんて心配をしながら渉が来たあのオープンスクールの日のことを話した。


「そのぉ、渉が私のことをお願いします、みたいなことを言って、凪くんを困らせてしまったみたいで...本当にごめんなさい。ずっとそれでモヤモヤしてて、謝りたかったんです」


とは言ったものの、モヤモヤは消えない。

むしろ、スポンジが水を吸ったみたいにずんっと重くなった気さえする。

目の前の海は穏やかで

星が優しく水面を照らしているのに

私の心だけ濃い霧がかかったまま。

謝ってもダメなら、どうすれば良いのだろう。

このモヤモヤはどうすれば消えるの?

名案を見出だせず肩を落としていると、凪くんが口を開いた。


「夏目が謝ることじゃない。謝らなきゃならないのは俺の方だ。ごめん...」

「ど、どうして謝るんですか?凪くんは何も悪いことしてないじゃないですか?」


私の言葉に凪くんは大きく首を真横に振った。

サラサラの黒髪が揺れ、爽やかで、でも少しだけ甘い不思議な香りが鼻を刺激した。

凪くんが近くにいる。

そう感じて胸のざわめきはますます大きくなった。