まだ、青く。

――いたっ!


「い、痛いですか?すみません...」


凪くんが切った玉葱はおとなしかったのにな。

おかしい。

同じように切っているはずなのに...。


「力み過ぎてる。もっと肩の力を抜いて。そんなに力を入れなくても切れる」

「は、はい...」


力み過ぎない、力み過ぎない。

落ち着いて。

穏やかに。

そう心の中で唱えながら包丁を引いた。

が、しかし。


「あわわ。切れてない...。どうしましょう...」

「じゃあ、一緒にやろう。夏目はそこにいて。俺が後ろから手を回す」

「えっ?いや、そ、それは...」


抵抗する間もなく、私はすっぽりと凪くんの中に収まってしまった。

感じる。

強く強く強く感じる。

凪くんの鼓動と

オーラを

感じてしまう。

ここまで男の子と近付いたのは産まれて初めてで、

心臓がバクバク言っている。

食事前にこんなことを言うのは不謹慎なのだろうけど、

口から心臓が飛び出そう...。

あぁ、早く終わって。

息が...出来ない。


「包丁を握る力はこんくらい」


凪くんの手が私の手のひらに重なる。

玉葱に手汗が染み込んでいく気がして気が気でない。


「で、このまま向こうに押す」