まだ、青く。

私は野菜と会話をしながら調理を続けた。

その様子をちらりと伺った海水浴帰りの家族連れには不思議な顔をされたけど、気にしない気にしない。

私がこれでいいんだから、

これがいいんだ。


「洗えた?」

「はい。準備オッケーです」

「じゃあ、切り方見せるから、同じようにやってみて」

「はい」


そう言って凪くんは玉葱を手に取った。

尖っているところと根を切って、その向きのままスライスした。

見たことがある形状。

恐らくこれは輪切りだ。

オニオンリングとかもこの形だったと思う。

渉が好きで週末になると某ハンバーガーショップから買ってきて食べてるから見慣れている。

でも、こんな風に切ってるなんて知らなかったなぁ。


「次、夏目の番」

「はい」


よし、頑張るぞ。

気合いを入れて腕まくりしようかと思ったけど、そもそも半袖だからその必要がなかった。


「空振り」

「解説しないでください。ムズムズします...」


このムズムズというのが、俗に言う"恥ずかしい"だというのが、経験を通してだんだんと分かってきた。

それはともかく、今は玉葱に集中だ。

私は包丁を持ち、玉葱の頭にセットした。


「ごめんなさい。行きます!」