まだ、青く。

そして、その不安は

奇しくも的中してしまう。


「ストップ。まずは野菜を洗わないと」

「あ、確かに。母は洗っていた気がします。3分クッキングの先生は洗っていませんでしたが...」

「あれは時短のためにアシスタントがやってるから。そのままの野菜には汚れとか残留農薬があったりするからきちんと洗わないと」

「すみません...」


野菜を洗うという常識を知らなかった私。

ひとまずスポンジに洗剤を染み込ませる。


「ストップ」

「えっ?」

「洗剤で洗う必要はない。水洗いで大丈夫だから」

「そうですか...」


洗うと言われれば洗剤に直結してしまう。

不器用脳は厄介だ。

私は野菜を手に取った。

すると、案の定聞こえてくる。

野菜1つ1つの声が鮮明に耳を貫く。


――早く洗って下さらない?

――人間のために死にに行くのに汚いままは嫌ですわ。


「す、すみません。今すぐ洗いますので」

「夏目、どうした?」


そうだ...。

私だけじゃなかったんだ。

それなのに口に出して会話をしてしまった。


「野菜の声も聞こえるのか?」


私はしょんぼりしながらこくりと頷いた。


「なら、喋ってていいよ。そうした方が夏目は落ち着くだろうし、野菜も喜ぶだろう」

「あ...ありがとうございます」


そうだ。

そうだった。

凪くんは、

私を受け止めてくれる人だったんだ。

出逢った時からずっと、

信じてくれてるんだ。

だから、大丈夫なんだ。

このままの私で、

ありのままの私で、

大丈夫、なんだ。