まだ、青く。

「ちょっと待った!」


兆くんが勢い良く手を挙げた。


「なんだよ」

「確かにだな、オレと鈴のすけは料理が出来ない。だからといって、切りものをやらせないのはいかがなものかと思う。

それに火が入っていないまま皆に渡すことになったらどうなる?食中毒で残りの合宿は中止だ!そりゃまずいだろ。考え直してくれよ」


その発言の直後、今度はTシャツの裾をつままれた。

"チャンスを作ってやったぞ"と言わんばかりの表情でこちらを見つめてくる。

それはありがたいことなのだけれど、

さすがに強引過ぎでは?

ちらっと凪くんの顔を見ると、口をきゅっと結び、眉間にシワを寄せていた。

凪くんでもこんな深刻な顔をするのか...。

いつの間にか見入ってしまっていた。


「凪くん決めて良いわよ。夕飯をしきるのは凪くんなんだから。ちなみに明日の夜は海鮮丼食べに行くって決まってるから料理しないしね」

「っしゃー!海鮮丼!」

「杉浦、アンタが困らせたのにうるさくするな!少しは黙りなさい」

「へ~い」


兆くんがまるで塩をかけられたナメクジのようにしょんぼりしていると、遂に凪くんが口を切った。


「じゃあ、千先輩と兆、オレと夏目で切りものをやることにします。申し訳ないけど、涼介と雨宮は焼き担当で。時間が押すようだったら2人で焼きそば作ってもらって構わないから。よろしくお願いします」


と、その直後。


「良かったな、鈴のすけ」


ニヤニヤ顔が隣からお見舞いし、

私もロボットのようなぎこちない笑顔で返したのだった。