まだ、青く。

「聞こえる?」

「か、勝手に取らないで下さいっ!私、イヤホンして音楽聴いていた方が安心するんです」


......あ。


言ってしまった後に気づいた。

なんでこんなに胸がザワザワするのだろう。

なんでこんなに熱いのだろう。

なんで...

なんであんなに強く言っちゃったんだろう。

凪くんは悪くないのに...。

凪くんを傷付けてしまった...。


「ごめんなさい...」

「ちょっと待って!夏目!」


凪くんの声を無視して走った。

どうしちゃったんだろう、私...。

どうしてこんなことしてるんだろう。

なんで逃げてるの?

なんで避けてるの?

どうかしてる。

おかしいよ。

あの時からずっと......

私が私じゃないみたいだ。


って、

私今......


「聞こえない...」


海の声も、

空を泳ぐ鳥の声も、

回りの生き物の声も、

全然聞こえない。

私の世界から......

声が、

消えた。

聞こえてくるのはさざ波の音だけ。

それに余計な吹き出しは見えない。

こんなこと、人生で初めて。

これが、皆の見ている世界なんだ。