まだ、青く。

学校での渉を知らないから私はすごく驚いた。

家では私のことを呼び捨てにするし、母にはわがままばっかり言うし、掃除も洗濯も自分で出来ないような弟がまさかこんなにも立派な立ち振舞いが出来るなんて...。

腰を抜かしてしまった。


「星波中学校から参りました夏目渉です。いつも姉がお世話になっております。今日の見学を心待ちにしていました。どうぞよろしくお願いします」


目が飛び出そうになった。

こんなに流暢に美しい日本語を話せるなんて、思いもしていなかった。

私の知らぬ間に弟は目覚ましい成長を遂げていたよう。

私があまりの驚きに声を失っていると、千先輩が口を切った。


「渉くん、お待ちしてました~!アタシは部長の御手洗千です。で、時計回りに1年の富水涼介くん、2年の志島凪くん、雨宮潤ちゃん、杉浦兆くん、で、お姉さんです」


渉は私を見てにやりと不敵な笑みを浮かべた。

その悪戯っ子の顔、私嫌い。


「姉が皆さんと仲良くやれているようで良かったです」

「えぇ、もう大の仲良しよ」


ちらちらとこちらに視線を流してくる。

その目が何を訴えているのか、私には分からない。


「これからは自由に部室内を見てもらって構わないわ。質問があればどんどん私の子分に聞いてちょうだい」

「子分ってなんすか?!」


すかさず兆くんが突っ込む。

確かに子分は酷いかも...。


「ま、ひとまずこのうるさいのは置いておいてアタシ達の力作をとくとご覧あれ」

「はい」