「朝から北斗くんを見られるなんてラッキー!」
 あずみは嬉しそうで、そんなところにまさか朝、一緒に朝ご飯を食べてきたとは言えない。
 嘘をついているようであることにちょっと心は痛むが、北斗との約束である。
「あーあ、美波はいいなぁ。北斗くんと幼稚園から一緒なんて! 名前も呼び捨てで呼ばれちゃうし……」
 よく言われることを言われたので美波は苦笑してしまう。うらやましく思われて、当然だと思うけれど。
「いや、偶然だから……それに、小学校はほとんど別だったし……」
 本当であることを言っても、あずみは「それでもうらやましいよー」と言うのだった。
 あずみはもちろんであるし、ほかの友達などにも同じことを言われることは多くて、美波はその度にこう言うのだけど、それでもなんとなく感じていた。
 けんそんするようであるし、実際、自慢するつもりはない。ほかの子たちにねたまれたくはないし。
 でも確かに嬉しいのだ。
 北斗と幼なじみという関係でも仲良くいられることが。
 ある意味、特別といってもいいだろう。
 家での北斗はぶっきらぼうだけど、優しいところもあるし、幼なじみの男の子として普通に好きだし、良く思っている。
 だからそばにいられて嬉しいと思うし、北斗からも「美波」と呼ばれるのも同じなのだ。