「……そう、なんだ」
 一通り話を聞いて、美波はそっと息を吐き出した。
 手の中のペットボトルのミルクティーはだいぶ減っていた。
 あずみの話してくれたことは、昨日の夕方、北斗に呼び出された、というものだった。
 金曜日に声をかけられていたらしい。
 「日曜日、ちょっと会ってほしい」と。
 きっと金曜日は部活があって、土日は撮影があったからだろう。

『美波とトラブったって聞いて、俺からも話さないといけないと思った。……悪かった』
 北斗はまずそう言った。
『これはスキャンダルになるから、絶対に黙っておいてほしい。いいか?』
 あずみはもちろん、秘密にすると答えた。
『モデルの向坂 聖羅。【スターライト ティーンズ】で見たことがあると思うけど……、実は俺、あいつに告白されたんだ』
 スキャンダルになる、と言われた理由を、あずみはそれですぐ理解した。
『それで、あの撮影の、本当は向坂と組む予定だったんだけど……』
 そのあと北斗は事情を話した。
 美波がすぐに話すこともできなかった、細かい事情を。
『……というわけで、美波に頼むしかなかったんだ』
 あずみはそれで納得したのだけど、そのあとのことに驚いたのだという。
『美波に『よそにバレないほうがいいから』って俺が言ったんだ。つまり、俺が隠させたようなものなんだ。だから、俺のせいだ』
 北斗が『自分のせいだ』と言ったのだと。
 そういう、説明。