最初のページから、北斗と聖羅が並んで写っていて、美波の心臓が、どくっと騒いだ。

『ホクくんとセーラちゃんは、この間付き合いはじめたカップル!』
『ついに初デートの約束をしたけれど……、初デートってどうすればいいの~!?』
『絶対成功させたい初デート! 2人と一緒に、お勉強しちゃおっ!』

 そんな明るい記事が書いてあって、そのあとのページも同じだった。
 お洋服の選び方、待ち合わせの場所、時間……。
 しかし記事はほとんど美波の頭には入ってこなかった。
 ただ、写真ばかりが目についた。
 写真の中の二人、北斗と聖羅……いや、違う。『ホク』と『セーラ』は、仲良さげな様子だった。いかにもカップルといった様子。
 初々しくて、楽しそうで、そして幸せそうだった。
 でもそんなものは、作りものなのだ。
 役だからやっているにすぎないのだ。
 そう、知っているのに。
 美波の心はどんどん沈んでいった。
 そして最後のページ。
 初デートがうまくいった、というコメントがあって、その写真。
 帰ろうとしている二人の様子だったけれど、『ホク』が『セーラ』の肩を抱いていた。
 そして『ホク』は、とても優しい目で『セーラ』を見ていたのだった。
 『セーラ』からも『ホク』を見上げていて、その表情も幸せそうだった。
 美波の心から、なんだか感情が抜け落ちてしまったようだった。
 そっと『閉じる』をタップして、画面を閉じた。
 雑誌も閉じた。
 タブレット端末自体もオフにした。
 タブレットなんて、投げてしまいたいような気持になっていたけれど、そんな乱暴なことはできない。
 壊すわけにはいかないし、それ以上に、壊したらお母さんに「どうしてそんなことしたの!」と聞かれてしまうだろう。
 なので、努力して、そっとデスクに置いた。
 そうしてから、どさっとベッドに転がった。横向きになって、枕に頬をつけて、ぼうっとする。