小4の春。
ひょんなことで友達がいじめられているのを
見つけた私は、相手が誰だか知らずに
止めに入った。当たり前だ、友達だから。
しかし、私が喧嘩を売ってしまったその相手は
地元でも有名なヤンキーの先輩だった。
それからというもの、マンガの中か?
と疑いたくなるような陰湿な嫌がらせを受けた。
私は嫌になって学校をサボるようになった。
サボるたびに家にかかってくる電話。
ほんとに家族からしたら気が気ではない。
そして、家族が出した答えは
私立の中学に行かせるという選択肢。
家族の気持ちがわからないわけではない。
そんな不安から解放してあげたいー
そう思ってくれたのかもしれない。
けれど、それは私にとって逆効果だった。
"生粋の長女は貴方しかいないのよ"
少々複雑な家元に生まれた私は、
なぜかいつもそう言われていた。
私には自由なんてなかった。
茶道、日本舞踊。
発作がひどい私でもできる習い事を
探して来たのだろう。
一家的には、剣道一家なはずなのだから。
小さな頃から歌うのが好きな私に
母が習わせたのは手話ミュージカル。
けれど、その歌も過呼吸がひどくなった時には
歌えなくなっていた。
極め付けに小4の冬、私の習っていた
日本舞踊の花柳流の先生は自殺してしまった。



