恋人ごっこ幸福論






「ねえ…玲央ちゃんはどうして私のことが好きなの?」

「なんでって?」

「お祖父ちゃんに連れていかれた流れで何度か遊んでたけど、それ以上の付き合いもなかったし私玲央ちゃんに何かした記憶もないの。玲央ちゃんが泣いてたってその場で何も出来なかったし…」


どんなに断っても諦めないほどの魅力が自分に到底あるとは思えない。玲央ちゃんは私にも何故か笑顔を向けてくれて、一緒に遊ぶ時も楽しそうにしてくれてはいた、けど。

なんで私なのか、これといったきっかけらしきものが検討つかない。



「……そうだな。確かに会ったのは数回だけだし緋那からしたらそう思うか」


玲央ちゃんは私の質問に一瞬きょとんとした後、少し寂しげに笑ってぽつりと呟く。



「俺さ親父の愛人の子なんだよ」

「……え、」

「俺が小学校上がった頃に、親父に妹と一緒に引き取られたんだけどさ。俺達母親のルックスガッツリ受け継いでるから本妻の義母からめちゃくちゃ嫌われてな。1人義兄がいるけど義兄にも事ある毎に虐められてた。で、そんな自分に自信無くして毎日泣いてたんだよな」



そんな玲央ちゃんを元気づけようと、玲央ちゃんのお父さんは歳の近い子供が居る取引先には、自らが主催する交流会に連れて来るよう頼み込んでいたらしい。