なにが起きたか、わからなかった。 「そいつじゃなくて」 ありえないほど、先輩の顔が、近くて。 「俺を見て」 「……え」 「ドキドキするのも。切なくなるのも。俺にしなよ」 柔らかいものが、唇に、あたった。