世にも歪な恋物語



 学校に通うくらいなら、その時間、街に繰り出したり、部屋で趣味に没頭している方がよほど有意義だった。


 好きなものに囲まれている時間は至福だ。


 だけど、オレは、見つけてしまった。


 自分以上に美しいものを。


「……スノー・ホワイト」


 その肌は青白かった。


 透明感というよりは、ひどく血色が悪く、今にも倒れてしまいそうで。


 対比するように、濡羽色の長い髪がキレイで、目を奪われた。


 最初は、観賞するだけでよかった。


 放課後の図書室で何時間も本を読む彼女を、そっと眺めた。


 琴、という古風な名が似合うと思った。


 どんなに近くにいても、すれちがっても、オレと一度も目が合うことがなくて、どうやら他人に少しもキョーミがないことがわかった。


 彼女は群れず、いつも一人でいた。


 消えかかったロウソクのような女性だった。


 強い風が吹けば消えてしまいそうな儚さを感じた。


 それが、たまらなく美しいと感じた。