世にも歪な恋物語




 ■後輩A(Boy's side)


 『白雪姫』という童話を少しも知らない人間に会うのは難しい。


 だけど、そのうち何%の人間が、ストーリーを正しく理解しているだろう。


 あれは、美しい姫を誠実な王子が真実の愛で救う純愛物語ではない。


 王子が恋をしたのは毒りんごで眠った姫でなく、りんごを喉につめて仮死状態にある女性だ。


 そう――王子が愛してしまったのは、死体同様の姫だった。


 子供の頃に図書館で読んだ、お母さんから読み聞かせてもらった、アニメーションで鑑賞した『白雪姫』など所詮は子供向けのまやかし。


 ホンモノの王子は、"危ない男"なのだ。