世にも歪な恋物語



 ちょっとなにいってるか、わからない。


「待て待て。ナイフ?……否定? 俺にもわかるように言え」


 激しく同意。


「それだけじゃないよ。(しつ)けてくれた。愛のムチで」


 タクミが、頭を抱えている。

 あたしも意味がわからない。

 リオが放心状態だ。


 そんなことは気にせず、ニシサカは、照れくさそうに続けた。


「ボクが、汚れた靴下をその場で捨てようとしたらさ。神崎さん、物を大切にしろ――ってボクを叱ってくれて」


 そんなことした?


「洗えば使えるだろうって」


 なにそのツッコミ。

 ごもっともだけど、あたしそんな園児だった?


「給食のニンジン残したときも。ダサ――って、戒めの言葉をくれて」


 ???

 
「作った人に悪いでしょって。強引に口につっこまれて」


 うわあ。

 あたし、そんなことまでしたのかよ。