世にも歪な恋物語



「おい、西坂。なんでシホに案内頼んだんだよ」


 最大の謎を、タクミが口にした。


「それは――……」


 チラッとニシサカが、あたしを見る。

 色素の薄い顔だな。ほんとに同じ人間か。

 脚、長すぎだろう。顔ちっさ。


「やっぱり、すきなのー? シホのこと」


 おい、リオ。余計なこと聞くな。


「……うん」


 いやいやいや。

 べつに、好かれる要素ないじゃん。

 話したの今日が初めてだし。

 絡みゼロだったし。


 自分で言うのもなんだけど、あたし、どこにでもいる普通の中学生だ。


 愛想とか持ち合わせてないし。

 リオみたいに女子力もなければ、モテた試し一度もないからな。


「覚えてない? ボクのこと」


 ……うん?


「幼稚園の頃。同じクラスだった」